言ったわ。言っちゃったわ。

案外、簡単に言えた事に自分でも驚いた。
二年半の間、心で言って来た言葉達が、自然と口から出た。そんな感じがした。


「ありがとう。それで?」

それで?
ああ、好きってだけじゃダメなのか…

「あの、出来れば、お友達になってくれませんか?」

「はあ? 俺、そういうのは無理だから」

いい年した男女が友達って、ないかな。

「じゃ、じゃあ、付き合って…」

「それも無理。今は女の子と付き合う気ないから。悪いけど」


終わった…

私の長い片想いは、結局片想いのまま、今終わった。
初恋だったのになあ…

あ、涙が出て来ちゃった。

「話を聞いてくれて、ありがとうございました。失礼します」

泣いた顔を香山君に見られたくなくて、頭を下げたままの姿勢で香山君の横を通り過ぎ、裏庭を後にした。

溢れた涙が両頬を伝わり、地面に落ちていった…