貴公子と偽りの恋

香山君の、好き嫌い?

「知らない…」

「お弁当を作るのに、聞いてないの?」

「うん…」

「バカねえ。電話して聞いてみれば?」

電話!?

「電話番号も、知らない…」

「もう、何やってるのよ。若い人って、そういう所はぬかりないんじゃないの?」

「面目もありません。どうしよう…」

「困ったわねえ…。あ、そうだ。今日、香山君は何を食べてたの?」

「えっとね…」

私はお昼に香山君が食べていたお弁当を、必死で思い出そうとした。

「思い出した! 肉だ。たぶん、豚肉の生姜焼きを食べてたよ」

「そう? 他には?」

「それだけ。あとは白いご飯」

「まあ、ずいぶんシンプルなのね?」