母さんは、
絶対に父さんより上には見られない


それに
俺の記憶の限り、
おっきなケンカはしてない

俺が言うのもなんだけど…
俺の同級生の親の誰よりも、
母さんは、若く見える…
年下夫は、やっぱり
若さの秘訣なんだろうか…


そう、いってる間にも、
母さんが、
父さんの首に、
選んだネクタイを
結んでる


それくらい、自分でヤれよな〜、まったく!


「じゃあ、いってきます」


そう言うと…


ほら、まただ…


リビングの入り口のドアの向こう
わかんないと思ってるんだろうか…

それとも、仲がいいのを自慢したいのか…


息子の前で、朝っぱらから
キス…
するかねぇ!全く!


母さんと父さんは、玄関に向かい、
父さんを、会社に送り出した母さんが戻ってくる


「一真、時間いーの?
3年生なんだから、
しっかりしなさいよ!

この前、哲弥くんから、
電話あったわよー

授業サボってるって
ホントなのっ?!
服装も乱れがちだっていうし…」


母さんの言う、
哲弥くんは、

父さんの大学時代の仲間、
俺の学校に4年前から
体育教師として居る

何かと、俺の様子をチクるから、
ヤなんだよなっ


「も〜、わかってるよ、
ごちそうさま、
んじゃ
いってきます」


これ以上、
母さんのお小言なんて
聞きたくないから、
カバンを持ち、
玄関を出た