【一真 side】


「お兄ちゃんっ!」


バンッ


「私の面タオル知らないっ?!

間違えて、持っててない?!」



俺の部屋のドアをノックもせず、
入ってくるコイツ…

妹…市居茉由子(イチイ マユコ)中3



「あぁっ?!
俺が間違えるワケねぇだろっ?!」


「ウソっ、この前、ブルーのヤツ!
間違えて、持ってったじゃないっ!

アレ、私のお気に入りだったんだからぁ!
お兄ちゃんのクサい匂いが移ってヤなんだからっ!」


俺の道着や袴が入ってるスポーツバックを
ゴソゴソと漁る


「おまっ、勝手に見ンなっ!」


茉由子から奪い返そうとバックに手をかけると、


「あったっ!!」


白地に細かい星の模様の面タオル…


「あ゛…」


昨日、1Fのソファーにあった洗濯モノの中から
適当に掴んで入れたんだった…


「もー、お兄ちゃんは、
白地に、防具屋さんの店の名前が入った
ダサいやつなんだから
私の持っていかないでよねっ!
まったく! 
うわっ、もうこんな時間!」


俺の部屋の時計を見るなり
ドタドタと俺の部屋を出て、
階段を駆け下りていく


俺の影響なのか、どうなのか、
茉由子も小学校に入ってすぐ、
剣道を始めた


男子を押しのけ、部長になったくらいだから、
強いんだろう…


今日も朝稽古があるから
俺より先に飯食って
出掛けて行った…


でも、
あれじゃー
彼氏の一人もできねぇぞ…