今まで抱きしめていた手を解いて、小杉春流はあたしの肩に手を置いて、ガンを飛ばしてくる。
折角いつもと違う一面が見れたというのに、これじゃ台無しだ。
「呼んでくれたら、良いモンやるからよ」
「良いモン?」
「ああ。だからさっさと呼んで見せろ、未愛」
留年していて、ヤンキーで、周りから少し怖がられていて、少し短気だけど。
実は誰よりも人の事を考えていて、いざとなる時に頼りになって、笑うと可愛くて。
そんな一面を全て兼ね備えたのが、小杉春流という人間。
「…はる、る」
「もう一回」
「春流ッ!もういいで―――」
「合格。約束通り、良いモンやるよ」
春流の言う、良いモン。
それは気持ちがたくさんこもった、熱くてとろけそうなキスだった―――
.

