面を脱ぎ、タオルを首に掛けて、さっき試合をした後輩の元まで走る。
さっき一緒に練習をした彼女、田崎さんは部室で静かに水を飲んでいた。
「あっ、剣先輩」
私を見るとタタッと走って来て、「どうぞ」と、冷たい水が入ったコップを渡してくれる。
「ありがとう。さっきの、大丈夫だった?痛そうにしてたから……。ごめんね」
「いっ、いえっ!全然、大丈夫です!そんな剣先輩が謝るなんて……!」
「ううん。後輩が怪我したら大変だから。本当に大丈夫?痛かったらすぐに言ってね?」
「剣先輩……」
この様子だと、大丈夫……?
ホッとして、ポンポンと田崎さんの頭を軽く叩く。
田崎さんの顔が、見る見るうちに、赤く染まっていく。
……しまった!
「……剣先輩ー!大好きですー!!」
ガバッと私に抱きつこうとする彼女。
そう言うが早いか、床に倒れてしまった。
アレ?
いつもならぎゅうぎゅうと締め付けて、5分は離れないけど……
どうしたんだろ?