「分かってると思うけど、あんまりゆきの彼氏面するのもほどほどにしてね?
だいたい、ゆきのそばには私がいるから、それで十分なの」
「ね?」と、時東に笑顔を向ける紗希ちゃん。
「確かに……」と藍沢と俺も同意する。
科学部に伝説があるとしたら、それは紗希ちゃんだと口を揃えて言うだろう。
あの山崎にベッタリだった時東に紗希ちゃんは「ちょっと話しがあるから来て」と言って呼び出し、
五分後、時東は紗希ちゃんから【ゆきにベッタリ近付くの禁止条例】を出されたとかなんとか……。
それからは、時東は山崎にあんまりベタベタすることはなくなったんだが……。
「この頃はまたベタベタゆきにまとわりついてるって藍沢くんから聞いたんだけど……本当ぉ?」
……紗希ちゃん、目が笑ってないよ。



