「佐野先生、寒いけど暑いって何言ってるんですか?」 純粋に不思議だとでも言う風に、山崎が少しブカブカな白衣を着て俺に近寄ってくる。 「暑いっつか……熱い。寒いけど熱いんだよ」 「??」 「だから寒いけど熱いのー」 「???」 「だからよー」 いまだにポカンと間抜けな顔をする山崎に、なんとか今の自分の心境を伝えようと身を乗り出す。 すると…… 「俺のゆきに近づかないでくれますか、佐野先生」