「あ、歩くん!手、離してくれないと靴履き替えられないよぉ…」 「え……」 気づくと、俺とゆきは二年生用の下足箱の真ん前にいた。 俺とゆきはクラスが違うから、もちろん下足箱がある位置も違う。 だから、靴を履き替えるにはこの手を離さないといけない。 それに、手を繋いだまま靴を履き替えるってのも……無理、だよな。 「……うぅっ」 「歩くん!」 「……だって」 「歩くん??」 俺のか細い、泣き声みたいな声に、ゆきは少し心配になったのか俺の顔を下から覗く。 そんなゆきを、俺は見つめ……