「でも、科学部に入ったのはそれだけが理由じゃなくて…」

「嘘おっしゃい。心の中の9割がその理由のくせに」

「う……っ」


思わず、言葉がつまってしまう。


今、紗希ちゃんが言っているのは、私が科学部に入った理由について。


私は昔から科学の成績だけは高く、だから科学部には入った。

……と言うことにしている。


でも本当は……


「だ、だって科学室からよく長瀬くんの姿が見れるから…」


私が今、思いを寄せている人。

同級生の、長瀬 春樹(ナガセ ハルキ)くん。

長瀬くんはサッカー部で、そのサッカー部の練習がよく科学室から見えるのだ。


そして科学部はいつも科学室で行われるから、だから私は科学部に入部した。