「……つっ」


ゆきの泣いてる顔が見れなくて、俺は科学室から飛び出した。


「………やっぱバカだよ、俺」


二年生用の下足箱がある所まで走った俺は、壁に背を預けポツリと白い天井に向かって呟いた。

周りに誰もいないからか、虚しくその声は響くだけで……。


「………チャンスがあるかも、なんて」


長瀬に彼女がいるって分かって、ゆきが告白しないって分かって。

だから俺、ゆきにこの気持ち伝えるチャンスなんじゃないか……なんて……。


「………バカだよ。本当に、バカすぎるよ俺」


目頭が、カアアッと熱くなっていく。