「うう…っ」と唸りながら、体から一気に力を抜けさせる。


そんな…じゃあ、昨日から悩んでた私って……


「……でも、あんなに冷たい声で“来なくていい”って言わなくてもっ」

「ああ……まぁ、不機嫌だったのは確かだったし」

「え??」

「意外とゆきに“恋人じゃないしデートもしない”ってハッキリ強く言われて、少し傷付いたから」


そう言って、手を目頭にあてて泣くふりをする。

え!? ええ!!?


「あ、あの、いや…それは、私も悪かったと……っ」


私はなんとか歩くんのご機嫌を取り戻そうと、チタパタと手を大きくふる。

そして私が歩くんの顔を下から覗いた瞬間……


「……ゆきってさ、人の演技信じやすすぎ。そんなんじゃ、俺から遊ばれるだけだよ?」

「え―――?」