私がギャーギャーと非難の声をあげていると、歩くんはスッと私の唇に自分の指先を滑らせた。
はうぅ…っ!?
「あ、ああ歩くん!?」
「……俺の話し聞いて。聞かないと、無理やりその口塞ぐよ?」
ニッコリと笑ったその顔は……ああ、歩くん本気だ。
「話し……聞く?」
「―――っ!!」
私はブンブンと、顔を大きく上下に振った。
「……ねぇ、ゆき」
「は、はい?」
「最初に言っとくけど、昨日の俺は……全部演技だから」
「………」
はい???
演技?全部??
「放課後の科学室は、俺とゆきの恋愛授業の時間。忘れた?」
「あ、じゃああれは……もしかして恋愛授業??」
「そうそう。あんな風に俺が言ったら、ゆきはどうするかな〜って」
「あんな風って…もしかして、長瀬くんに言ったあれ?」
「そ。あれ」



