「―――私っ」


歩くんは、きっと来てない。

でも、なんだか行かなきゃいけない気がして……


「紗希ちゃん!また一緒にケーキ食べようね!じゃあ…」


「ありがとう!!」と言って、私は紗希ちゃんに背を向けた……。



……雨はやっぱりまだどしゃ降りで、傘なんて意味がないくらい。


「9時50分……」


私はそう呟いて、どしゃ降りの雨の中を走り出した。


濡れるのなんて気にしない。濡れるのなんて気にならない。

だから……


「―――つっ…」


3、2、1―――…



ゴーン…と、駅にある時計から10時を知らせるチャイムが鳴り響いた。