「……片付けなくていいから」
そんな静かな声がどこからか聞こえてきて、床に伸ばした私の手をパシッとつかんだ。
「え?」と声を漏らして顔をあげると、そこには……
「ゆき、前にガラスで指切っただろ。こういうのは俺がやるから、ゆきは何か紙もってきて」
「歩くん……」
仕方ないと言う風にガラス片を拾っていく歩くんだけど、それも歩くんの優しさで……
「あの、紙…何でもいい?」
「なるべく大きいの。それにガラス包んで捨てるから」
「分かった!」
私はそう言って、手頃な紙を隣の科学準備室から取っ払った。
そしてその紙を歩くんに渡す時、その光景をみていた長瀬くんがふと……
「山崎さんと時東って、付き合ってるの?」
と言った。



