「そ。じゃあ行こっか」
「ゆき」と耳元で囁いて、歩くんは私の腕をつかんで引っ張った。
そのまま引っ張られるがままに歩いていって、
人があんまり来ない場所に連れて来られてしまった……。
「……あのぉ」
「昨日」
“昨日”という言葉に、ギュッと手に力が入る。
やっぱり、昨日の……
「何で、部活休んだわけ?」
すんごくイライラした顔で、歩くんは私を見つめた。
わああああ!
かなり怒ってるよ歩くんっ!!
「……すいません」
「すいませんじゃないから。しかも、俺に言いにくるならまだしも、藍沢に言って帰るってどういうこと?」