「そうでしょ??」
そう紗希ちゃんに言ってから後ろを向くと、もう長瀬くんの姿は小さくなっていて……
―――トクン…
心臓がそんな風に、一回だけ跳ねる……。
「じゃあ、教室に戻ろっか紗希ちゃ―――」
「……ふ〜ん、俺がいなくても上手くいってるってわけ?」
少しだけ笑みを含んだ声が聞こえてきて、ビクッと肩が震えた。
……いや、違うよね?
「昨日、休んだのはそれが理由なの?」
……違う違う。この声が近づいてきてる気がするのは、ただの気のせい。
「ねぇ、そうなの?」
「ゆき」と言って、私の肩にポンッと手をおいた。
「……歩、くん」



