「……届かない」 私って、そんなに手短かったっけ?? と思いながら、また「仕方ない」と呟いて机の下に体を潜り込ませる。 そしてなんとか手を伸ばして試験管を取り、さあ机の下から出よう!と思った瞬間…… ―――ガラッ 「え?」 いきなり科学室の扉が開いて、思わず私は動きを停止させてしまった。 誰だろ? 佐野先生が帰ってきたのかな?? そんなことを思って、耳を澄ませていると…… 「で、俺に何の用?」 「え……っ」 聞こえてきた声が佐野先生のものじゃなかったから、ビクッと体が揺れてしまう。