レンズ越しのあい



ふと、首筋の髪を背の方にパサリと避けられ、直後に感じたぬくもりに全身がはねた。


ちゅ、と、リップ音をわざと出して離される、先生の……唇。

首にされた、キス。


キスをされたところを中心に、もっとはっきりとした痺れが走る。

思わず肩をすくめて先生の方を見ると、ものすごく近い先生との距離で、視線がバチッと合う。


その顔を固定するように、先生の両手が頬を覆う。


逃げられない。

今度こそもう、先生からは、逃げられない。


「七海、答えろ」


まるで、お預けをされているような気持ち。

されたいような、されたくないような。

早く、早く、そう思う気持ちと、ダメだという、否定のキモチ。


「お前にとって、俺はなんだ?」


一線を越えることを、イケナイと思いつつも、目の前にある幸せを、欲するキモチ。


「俺はお前が」


ダメ、それを言ってしまったら、あたしは、あたし、は……。







「俺はお前が欲しい」


感情が溢れだして、一筋の滴が頬を流れた。


もう、我慢できない。