レンズ越しのあい











先生がいきなり、男の人になった――。





「なに、言って……るのか、わかってんですか?」

「お前こそわかってんのかよ?」


いきなり、空気ががらりと変わった。


真剣な顔をして、妖しい雰囲気を醸し出す、先生。

いきなり変った空気に、付いていけないあたし。


心臓が、警報を響かせる。

ドクンドクン、見つめ合う瞳から、吸い込まれてしまいそうで、あたしはとっさに視線をそらした。


「七海」


ビクッ


初めて名前を呼ばれて、緊張で強張る体。


先生が立ち上がり、机二つ分の距離を縮めてくる。

一歩、また一歩と、近付く距離に、どうしたらいいのか分からなくなる。


真横に来た先生は動けずに俯いているあたしに聞く。


「わかんねぇ?」

「……」

「ずっとお前に構ってたのに」

「……あ、の……」

「会うと必ず、お前のとこ行ってたのに」

「……近……」