「だからって桜庭はお前みたいに問題児なわけじゃないから、呼び出すわけにはいかないしな」
「なんで呼び出す前提なんですか」
「あのタイプは人目を気にするだろ」
「あぁ、まぁ、確かに」
満里奈は人一倍人目を気にする。
だから大切な話がある時は家に呼ばれるし、普通に会話している時でも声音を落とす時もある。
「何よりタイプが違う二人が最近いきなり仲がいいと来たら、もう気になってしょうがねぇ。だろ？」
「だからってなんであたしに聞くんですか」
「そりゃおまえ……」
先生は一息ついてから言った。
「口実、だろ」
「なんの……」
「お前と話す……いや」
「お前と、二人きりになる、口実」
