「で、どうなんだよ?」
「なんでそんなこと先生が気にする必要があるんですか?別に恋愛禁止とか校則にあるわけじゃないのに」
そう言ったあたしに、先生はニヤリと笑い、言う。
「楽しそうだから」
……ダメだこの人、教師失格だよ。
それはもう、悪人のように何かを企んでいるかと思わせるような笑みを見せる。
こんな顔する人を、誰が教師として認めたのだろう……。
「そんな理由言う人に、本当のことは教えたくありません」
「そんなこと言う生徒に、育てた覚えはありません」
「そんなこと言う先生の辞書に、プライバシーと言う言葉は乗っていますか?」
「そんなこと知るか」
うわ、最低!!
――最低なのに、なんでだろう。
今の、二人だけの時間が、とても幸せに感じる。
……指導室だけど。
「本人のどっちかに聞けばいいじゃない」
まぁこれを言ってしまったら話は終わってしまうかもしれないけれど、言わなければ言わないでまたおかしなことだと思う。
「お前、柏原がそう簡単に本当のこと話すと思うか?」
「思いませんね。あの人若干サドっ気入ってますから」
もしかしたら満里奈は、未だに彼がSだと気付いていないかもしれない。



