もう佐々木さんは居ないのに、

急に 恥ずかしくなった。

そもそも、女性慣れしてる佐々木さんの事だ。

ちょっとした気まぐれで 引っ掛けただけなのかもしれない。

キスだって、あの調子で、何人としてきたか 分からないじゃないかー。

なのに、あたしったら…。

いっぱしのレディ 気どってた。

バカみたいだー。



スリルとロマンに満ちていて、ドラマのワンシーンだったような雑踏が、

ただの 慌ただしく、汚い都会に戻っていく…。


期待がなくなった 私の目には、その都会が、
生活感に満ちた、
生臭い、
汚れたものに感じた。


世界の色が もとに戻ってしまう…。

また あたしは 退屈な程、安全な 日常に 戻ってしまう…。