唇に まだ、 佐々木さんの感触が残っている。

でも、
自分の 心臓の音がうるさくて、

その感触が 嬉しいものなのかさえ、
分からない。

自分の 本意が 分からない。



佐々木さんは きっと あたしを見ているだろう。

そして、 あたしからの 解答を 待っているんだろう。


でも 分からない。

自分の気持ちなのに、
ほんとに分からない。



私達の未来への選択をせまられるのが 怖くて、
私は 目をふせたまま、歩くしかなかった。



沈黙が 私達を包む。

再び、佐々木さんの腕が あたしの腰に まわされる。