すっかり遅くなっちゃった。

ちょっとハメをはずしたかなぁ?
と、気まずい気持ちで帰宅する。

気持ちが『家』に向かった途端。
急に時間が気になりはじめた。

早歩きが小走りになり。
そのうち ハァハァと息をきらせながら 走りはじめる。

吐く息が白い。

でも、その白さは、
ライブ前の切なさを伴わない。

そこにはもう、なんの感情もなく。

ただ せわしさだけが 白く吐き出されていく。

まるで魔法がとけたシンデレラの気分。

私の日常に 帰ってきてしまった。

私の日常に鮮やかな色などない。

虚しいような 腹だたしいような気分と、

自分だけ遊んでしまったという、申し訳ないような気持ち。

相反する 気持ちを かかえて走る夜道。

「ただいまぁ…。」

子供 泣いてるかな?

パパ 怒ってるかな?

と 恐る恐る ドアを あけたが 中は 妙に静か。

ヘェ~!

と 驚く私。

私が居なきゃ、居なくても平気!?

なんと 子供ばかりか、パパまでが いい子に 眠っている。

アハッ。
なんか 二人とも カワイイ。

ぬるま湯のようだけど 確かに 心地いい幸せが ここにはある。

家の中は 暖かく、カワイイ 子供とパパの寝顔がある。