余裕の笑みの薫に、綾瀬涼はチッと舌打ちし、顔を歪める。



その横で。


「薫・・・・・?
何でスーツ・・・」



首をかしげたあたしに、薫はフっと甘い笑みを浮かべる。



「ボクと別れたこと。
後悔させてやろうと思って」



「え?」



「結構イケてると思うけど?
ボク」



薫はポーズを決め、小悪魔な笑顔を炸裂させる。




「え・・・?
別れたって・・・何?」



眉根を寄せた綾瀬涼に、薫がウインクする。



「そのまんま。
今朝、ボク達、別れたんだよね。
ゴルフで勝った方が、お姉ちゃんを手に入れるなんて・・・。
そんな。
お姉ちゃんを、商品になんてするわけないでしょ?
でも。
涼兄・・・本気になっちゃって、かわいかったよ?」




「薫っ・・・」



小悪魔な笑顔でクスクス笑う薫の脇を、くやしそうな顔で綾瀬涼が通りすぎようとした。



その時――…