綾瀬涼と。

初めて、一緒に帰った坂の上の綾瀬家。



その豪華な門の前。


スーツ姿の薫が、金色の髪を風に揺らす。



「薫?」


綾瀬涼は薫の姿を見つけると、ギリっと歯軋りして、あたしを背中に隠した。



「こいつは、返さねぇよ?
もともと、おまえが言い出した事だろ?」



あたしは2人が気になって、綾瀬涼の背中から横に顔をのぞかせた。



「まぁまぁ。
涼兄。
そんな、ケンカ腰にならないでよっ」



薫は胸の前に手をあげ、無邪気な顔で、その手をヒラヒラ横に振る。



降参を意味するような薫の仕草に、綾瀬涼はため息をついて、あたしを離した。



「じゃあ、何の用だよ?
ゴルフの勝負。
オレが、きっちり勝ったよな?」



「はいはい。
そうですよ?」