でも薫は、すぐにいつもの小悪魔っぽい表情に変わり。




「あっぶない!
涼兄にお姉ちゃんを盗られる所だった」



口を尖らせながら、大げさに言って。




「もう、帰ろう。
ボクと、帰ろう?」



あたしの手をギュッとつかんだ。




握られた手は冷たくて。



明らかに震えていて。







あたし達は、家までずっと無言で歩いた。