さっきの・・。
薫の瞳に浮かんだ影は何?


裏切る・・・って?


“お姉ちゃんは”って言葉の意味って?









「ねぇ・・。
薫・・・。
何でそんなに綾瀬涼にこだわるの?」




あたしの存在を忘れたかのようにスタスタ歩く薫に、問いかける。




「別に?」




答える薫の表情も声も、いつも通り小悪魔ってぽくて。




でも・・・・。



微妙に温度の下がった薫の声に。


態度に。


少し不安を覚えながら。





「あ・・・・そう・・・」




あたしは呟き、そして、薫の冷たい背中を見つめた。