ティーン・ザ・ロック





その派手さに惹かれて集まってきた女の子も

あまりの自己中心的な振る舞いにだんだんと離れていった。


だが、それに彼女が気付く筈がない。


周りに集まらなくなった事にも気付かず、今度は自らが女の子達の群れに入っていくからだ。


思った事はすぐに口に出し、自分の気に入らない人の事をぼろ糞に言って回る留美に


脅える女の子達がどうして逆らえようか。



彼女たちにできる事と言ったら、極力近づかないようにするしかないのだ。



もし来てしまったら、留美が納得するまで誉め称えなければならない。



そのおかげで、留美は自分が人気者だと勘違いまでする始末だったが、それはそれで良かった。



その方があたしと一緒に居る時間が減ったからだ。



彼女があたしを手放さなかったのは兄の存在があったから。

それ以上の利用価値も無く、せっかくの自慢を薄い反応で受け流すあたしと一緒に居るよりも、大げさに驚いて見せる他の女の子の方が良いに決まっている。



今日だってきっと、ここでの兄の様子を伺うと言う目的がなければ電話などしてこなかっただろう。



…嫌になる。




もう一緒に居るわけではないのに、あたしはまたご機嫌取りをしている。


着拒でもなんでもすれば話は早いのだが



兄の存在がその意志を揺るがせるのだった。




仮にも兄の好きな人。恋愛がらみであんなに浮かれているのなんて、中1の時に女の子から本命チョコを貰った時以来一向に見ていない。


誰かと付き合うなんて、そのチョコがきっかけで半年の間付き合った女の子だけの筈。



だから、兄の気持ちを尊重したい。



留美を拒否するなんて、あたしにはとても出来ないんだ。