せめてもの抵抗として、留美に買っていたお土産をわざと地面に落してやった。
「あ゛ーー!!」
とか叫んでたけど、知らん顔で謝ると『わざとじゃないなら良いよ』なんて呑気な事を言っていた。
すみません、わざとです。…が、反省はしていません。
そして、張り付けた笑顔で兄を見送って、その夜。
知らないアドレスからのメールが手元に届いた。
送り主は勿論、留美だ。
『要さんに聞いちゃった!
葉瑠もメール頂戴!絶対だよっ』
メールでも図々しい態度…。
ため息の後、15分かけて作成したメールは
『うん!メールするね』
だけだった。あたしの留美への態度は、もうメールでも隠しきれない。
だって、なんて言って良いか分からないし…。もし兄の話題を出したら最後。
きっとのろけ話を朝まで話し続けるだろう。
…でもまあ、取り合えず危機は脱した筈。
突き放す様なメールを送ったから、流石に今日はメールしてこないんじゃないかな。
すると、またしてもケータイが、震えながらアイドルの曲を流し始めた。
………確かにメールは送ってこなかった。
だけど、まさか…こんな事って…。
開いた画面には、知らない番号からの着信。
留美がこんなに空気の読めない女だとは思っていなかった。


