「まーなっ!おばちゃんが来てくれたよーー!!」
「おばちゃんって…。まあ、良いけどさー」
小さい布団の様な物の上に寝転びながら、一心不乱に新聞紙と向き合う彼女は、あたしの可愛い可愛い姪っ子だ。
今年の五月に産まれたこの子は、皆から愛される様に、分け隔てなく愛せる人になる様に、“愛”と名付けた。
名付け親は、あたしだ。
そんな大役、あたしなんかに任せてくれて良いのかと最初は断ったものの
『お前に付けて貰いたいって、俺も留美も思ったんだ。俺達の絆を、この子に託したいから。俺たちを結び付けてくれたお前に、その役目を果たして貰いたいんだ』
とまで言われてしまっては、断る理由が見つからなかった。
随分悩んで、最終的には直感で選んだのだけど、二人とも気に行ったと言ってくれてホッとした覚えがある。
それも今となっては、良い思い出だ。
「愛ちゃーん!葉瑠ちゃんね、愛ちゃんにおもちゃ買って来たのー!気に入ってくれるかなー?」
「…自分の事ちゃん付けで呼ぶなんて…ふふっ。変わるもんだねぇー」
「……良いじゃんかよー。自分だって、いっつもイライラしてたくせに、今じゃ、愛に髪引っ張られても笑ってるってお兄ちゃんが言ってたよ」
「それが母性だからよ!良いから早くおもちゃをよこしなさい!!」
「親がおもちゃ欲しがるってどうなのよ!!」
ぎゃああぎゃあと騒ぎ始めたあたし達を愛がじぃっと見つめて
あーーーっきゃぁーーーーっ
と、笑った。


