地団太を踏みながら彼の方を見ると、その目線はずっと前に注がれている。



「……あれ、まさかとは思うけど…そうじゃない?」


そう言って遠くの方を指差す。それを追って目線をやると、遥か向こうに一台の軽自動車が見えた。


最近免許を取ったらしく、自慢げに『車で行くからな!』と言っていたが…。



「……ねぇ、あれって…進んでなくない?」



一分程眺めていたが、一向に車は大きくならない。



「雪だからかな…」



「……だとしても、あのスピードはないでしょ…。後ろ渋滞してるよ。あの道、追い越し禁止だから…」


「…クラクションの音も聞こえるね……」




スタットレスにしている筈なのに…。多分、雪道にビビっているんだろうなー…。






「……タクシーで行こうか…?」



出来れば…いや、確実にその方が安心できる。



「…せっかくだから。それに、事故には絶対あわなそうじゃない?」


「ははは…」



そう言ってくれて、ホント助かります…。




それから15分程でやっとロータリーに車が入って来た。あたし達はもう、凍死寸前だ。


「お待たせー」



「ホントだよ!!どれだけ待たせれば気が済むのさ!!

凍え死んだら呪ってやる!!」



「…だってよー…。初心者マークに雪道は難易度高いって!!」



「とにかく早く帰りたい!!」



そんでお風呂に入りたい!!!