「何処に行っていたの?お母さんもお父さんも、心配したのよ」
真っ黒な髪に良く映えるシンプルな白いワンピースを着こなす彼の母親。上品だけど、でも。
少しキツめの顔のせいだろうか。どうしても冷たく感じる。
「……電話もしてこなかったのに?」
悠馬もまた、氷の様に冷たい表情をしていた。
「…どうせ出てくれなかったでしょう?」
「そんなの、かけてきてから言って欲しかった」
「……何が言いたいの?貴方」
「…別に」
ピリピリとした空気が漂う。
違うよ、悠馬。そんな事が言いたくて来たんじゃないでしょう。
そう言おうと口だけは開いたが、肝心な所で声が出なかった。
ここであたしなんかが出しゃばって良いものか、考え直したからだった。
家族の問題に、一言とは言え、安易に首を突っ込むわけにはいかない。
あたしの時だって彼は、ただ側に居てくれただけだった。
でも、それだけで十分だった。
悠馬だってきっとそう。…これは、自分の口から言わなければならない事なんだ。
「…あら、貴女…?」
じっとそちらを見ている視線に気付いたのだろう。訝しげにあたしを見てくる彼の母。
「…あの…」
「僕が一緒に来てくれって頼んだんだ」
突然話題をこちらに向けられ、焦るあたしを彼が庇ってくれる。
ホッとしたのもつかの間
「……貴女、悠馬とどういう関係なのかしら」
今度は攻撃的な目で質問をぶつけてくる。


