ティーン・ザ・ロック





それでもきょろきょろと、辺りの置物を見てしまう自分が何だか可愛い。



「……悠馬?」



突然上から降って来た声に身体が跳ねた。



「…何処?」


彼の目線が階段の上を捉えている事に気付いて、自分もそちらへと視線を移す。


―――二階のフロアから数段降りた所に、手すりに身体を預ける様にしてこちらを見下ろしてくる女性が居た。


「悠馬なのね?」


艶やかで、とても美しい人。綺麗な艶のある黒い髪と口元が、悠馬に似ている。



もしかしてこの人は――――――。



「―――母さん」



やっぱり、そうだったんだ…。



「…待っていなさい。すぐ降りて行くわ」




言うが早いか、足はもう次の一歩を踏み出している。


カツカツと、鉄でできている階段に、リズミカルに踵が降りるのが何だか寂しくて。



……ハイヒールだから、だよね。



だから、彼の元に急いで行かないんだよね……?




たった一日とはいえ、今までした事のない無断外泊。もっと焦っても良いのではないかと思った。




最後の一段を溜める様にしてから降り、階段を下りて来た速度よりも若干ゆっくりとした歩調で彼に歩み寄る、彼の母親。




………やっぱりなんか、寂しいや…。