「何よ!!不満なわけ!?」



「え?いや、そういう訳じゃないけど…。あたしの事嫌いなんじゃなかったの?」



「はぁ?あたしがいつそう言ったのよ」



いや、思いっきり言ってましたよ、東京タワーで。


「えと、あの…?」


もう、ワケが分からない。



「……留美、あれだろ?あの、東京タワーの…」


兄が遠慮がちに声をかけて、やっと『ああ、あれね』と反応を見せた。


それでも話してくれるつもりは無いらしく、兄が代弁と言う形をとる。



「あれはさ、お前が俺との関係が不誠実だって頭ごなしに責めて来たように聞こえたんだってさ。

だからカッとなって、思ってもいない事をつらつらと…」



「え…?えっ?

じゃあ、彼を誘惑してたのって…」



「……お前の事が好きそうに見えたから、『本気で葉瑠を思ってるか実験してみる』って言ってたんだ。


そこにタイミング悪くお前が入って来たからあんな事に…」



えー…。何ソレー…。



「…自業自得よッ」



何が、だろうか。

顔を真っ赤にして拗ねる留美。あわあわとしながら機嫌をとる兄。




もう馬鹿らし過ぎて。



「……フッ…はっ ははははっ…」


笑うしかないと思った。