電話を切った後、色々な感情が溢れ出てきて…。両手でケータイを握り締めて、その場にしゃがみこんだ。


「大丈夫…?」


杉澤君が背中を擦ってくれる。

「…うん。母親の事は殆ど分からなかったけど…。

でも、胸の支えは取れた…かな」

「……そう…。…少し、歩こうか…?」


気遣ってくれる彼の優しさが、ささくれだらけの胸に染み込んでいく。


それも嬉しいけど、今はもっとしたい事があるんだ。


この東京駅に響き渡るざわめきが、耳の奥にこびりついてしまいそうで。


「早く、こんな場所から逃げ出したい」



誰もが無関心で、無関係で

無秩序で無頓着なこの街では


傷付いた心を穴だらけにしてしまう。


誰もあたし達なんか見ていない。


それが気楽で



苦痛でもある、そんな街。