後はもう、何も言わなかった。 風を切って、あの人の事を思う 想う。 ただ、それだけの事なのに あたしは今、確実に 紅葉と気持ちが通じ合った様な感覚に包まれている。 謝ってなんかいらないよ。 大丈夫。 あたしも、彼も みんなみんな、誰だって 紅葉の気持ち、分かってるよ。 だからさ。 「泣かなくていいんだよ」 そう言ったら、紅葉は『五月蠅い』って怒りながら もっと泣いていたっけ。