まるで子どもが玩具を貰った時の様に。
それは、無邪気で、純粋な声だった。
この闇夜にはミスマッチな声に、思わず悲鳴を上げそうになる程
彼女の…
紅葉の声は
とても恐ろしい物だった。
「二人とも、こんな時間に何やってるの…?」
座っている私たちを、見降ろす様にして見るその瞳は、微塵も笑っていない。
威圧感で身体を纏い、釣り上げた様に口を歪ませ、仁王立ちをしていた。
「ダメだねぇ…。葉瑠はトイレに行くんじゃなかったの?
紅葉、心配しちゃったよ」
「………」
「心配だったから、先生にも相談したんだぁ…。
まさかこんな事になってるとは思ってなくって。ごめんね…
でも
葉瑠がいけないんだよ…?
葉瑠が
私の言うことを聞かないからぁ……ッ!」
表情をガラッと変え
ヒステリックに叫び出す。


