「優しくなんか…ないと思うんだけど…。
今だって、紅葉の事を考えるとイライラしておかしくなりそうだし…」
「……僕も、そう思う事はあったよ。でも、随分昔に置いて来た。
家族が僕を愛してくれないなら、別の人たちから。
…友達や先生から愛されれば良いと思ってた。
家で辛い事があっても、学校に来れば笑っていられたから。
楽しかった。
中2の夏までは。……林田と僕の関係。どうして虐めにあっているか
知ってるよね…?」
奈津と冬華から聞いた噂話。
彼が林田から財布を盗み撮ったっていう、アレ。
一つ頷くと、彼も首を縦に動かし、話を進めた。
「……僕はやっていない。
林田の机やロッカーの位置なんて知らなかったし、鞄がどれかも分からない。
それに、財布ごと盗むなんて、幾らなんでもバレるに決まってる。
…嵌められたんだ。僕を犯人にする為に、あの人が仕掛けた事なんだ。
……証拠は無いけど、確信してる」
彼には心当たりがあると言う。真相を知りたくて、つい口を挟んだ。
「誰なの…!?」
「それは-----…」
その時だった。
「…見ィ~つけたっ」


