握られた手を解き、今度はあたしが握り返す。
今度は、あたしが話す番だ。
「……くだらないかもしれないけど、聞いて欲しい」
幸せだった日常。
両親の事故死。
兄の行動。
親友の裏切り。
ここでの暮らし。
今の、辛い事。
みんなみんな、彼に打ち明けた。
杉澤君は、あたしの醜い感情も、全部受け止めてくれる。
彼にとってはどうでもいいことかもしれない。
その程度の事を勿体ぶっていたのかと思われたかもしれない。
でも。
「……優しいんだね、逢坂さんは」
彼はそう言ってくれた。
変に慰められるよりも、何倍も嬉しくて嬉しくて。
優しいのは君の方だよ。
そう言ってしまいそうになった。


