本当に僅かな時間だったけど、彼と話す事が出来て嬉しかった。
これで少しは頑張れる。
そう思ったのだけれど
レクリエーションはあたしの想像以上にキツイ物となった。
「今から、班ごとに山道を歩いて貰います。
途中何箇所かにあるスタンプを押して、またここに戻って来てください。
はぐれたり気分が悪くなったものは、途中に立っている監視係の先生に言う事。
山道では携帯電話は使えないので、気を付けてくださいね」
別のクラスの先生がニコニコと、笑顔で指示を出し、各クラス出席番号順に男女混合で出発する。
あたしは巧実君と糸田君、そして紅葉と一緒の班だった。
「いこっかー」
「……うん」
紅葉が笑顔で声をかけてくる。
さっきはあたしを馬鹿にする様な態度だったくせに…。
彼女は一体何がしたいんだろう。
山道は思ったよりも舗装されていて、歩きにくいなんて事は無かったけど
「紅葉、もう足痛い…」
紅葉はそう言って巧実君にしなだれかかっていた。
…ここだけ見れば、あたしよりも確実に彼女の方がタラシの名に相応しい。


