コテージまでの2時間の道のりも、あたしにとっては地獄でしかなかった。
誰かの笑い声も、自分の事で笑われてるのではないかと過敏になる。
具合が悪いと言って帰ろうかとも思ったが
叔父さん達に余計な心配をかけたくなくって 止めた。
綺麗な緑色の葉を付ける沢山の木々に囲まれた大きなコテージに着く。
ばらばらと、自分の荷物を置きに一旦割り振られた部屋に向かう。
14名ずつ泊まれる大部屋だ。
何処に寝るとか、夜テレビは何を見るとか
盛り上がっているクラスメイトの輪には当然入れる事無く、
制服にケータイだけを突っ込み、逃げる様にその部屋から出た。
集合場所の玄関前に着くと、もう既に杉澤君が居て、大きな木を下から見上げている。
「何、してるの?」
近づいて声をかけた。
「………あんまり、こういう野生の木は見た事無かったから」
「…そっか。都会っ子だもんね」
「……逢坂さんは、東北出身だっけ。
自然って、いいよね」
「……そうだね。山に囲まれてる事が当たり前だったから、都会に来て街路樹しかないのを見たら、やっぱり自然っていいなーって思った」
「……僕もそんな所で暮らしたいな」
“どうして?”と聞こうとした時、先生から集合しろと声がかかり、会話はそこで終わってしまった。


