夕陽が沈む。
風だけが変わらずに、今も吹き続けていた。
「秘密基地って、何?」
目にかかる髪を耳にかける。
もっともっと、彼の顔を見て居たかった。
「……鍵、開いてたよね…?
いつも僕が使ってるから…。合いカギも、持ってる。
初めて見つけた時から気に入ってる場所なんだ。
……何かあった時は、いつもここに来る」
「………じゃあ、あたし…邪魔してるってことだよね…。ゴメン」
「……いいよ。逢坂さんも……一人になりたい時にはいつでも使って」
太陽が沈んで、月が顔を出す。
月明かりが彼の真っ黒な髪を照らし出し、まるで銀色の糸の様に光って見えた。
いつもなら息苦しくなる沈黙も、今は逆に心地よい。
あんなに強かった風も、今は優しく頬を撫でる程度になっていた。
夜空を見上げていると、彼がまた話しかけて来た。
「……家の人、心配しない?」
「……一応メールしておく」
「………うん」
優さん宛に『友達の家で勉強してから帰ります。ちょっと遅くなるかも…。ご飯は先に食べててくださいね』と、偽りのメールを送った。
相変わらず嘘つきな手だなぁ。
留美とのメールで嘘が益々上手くなったのかもしれない。


