ティーン・ザ・ロック






授業を淡々とこなし、あっという間に放課後になった。


何だか、訳の分からない胸の動悸があたしを襲う。



もう話を聞く事は出来ないだろうけど、それ以上に、杉澤君という男の子と一緒に何かをする という事があたしの胸の鼓動を早くしているみたいだった。


同じ闇を持ったあの目。

同志としてだけでなく、なんと言うか…


あたしにとっては神を崇めているつもりになっているのかもしれない。




強い彼。感情を一切外に出さない、強靭な精神。




それに憧れを抱いているのかもしれない、が。それが本当かどうかは、今のあたしには分からなかった。



「紅葉ー、葉瑠ー。うちらも残る事にしたよ!

久しぶりにオケってかない?駅前のUGAの割引券持ってんだー!!」


冬華と葉瑠があたし達の元へとやってくる。


「えー!でも、悪いよー…。ホント、何時までかかるか…」


「何言ってんのー!!うちら友達でしょー!!

そんなの、何時までだって待ってるし」



奈津がみんなに同意を求め、皆も笑顔で『当たり前だし』と言ってくれた。



「ありがとー…」


良かった。みんなもあたしの事を友達だと言ってくれている。




…今日は、本当に精神的に参っていたから。


こうやって遊びに誘ってくれる事に救われた。



クラスの女子の、あたしへ向けられる目 目 目。


目線が合えば外してくるが、気付かないふりをしていると、それはいつまでも続いた。



何をしたわけでもない。だが、何もしなければこんな目に合わない事も知っていた。


でも、ソレが何なのかが 分からない。