ティーン・ザ・ロック





だが…どうやって?



紅葉に『関わるな』と言われている以上、誰の目が光っているとも限らない教室内で行動を起こすのは得策ではない。


でも、神様はあたしにチャンスをくれた。



「今日の放課後、各クラスの学級委員が集まって、来週行われるリクリエーションについての話し合いが行われるから。

委員長と副委員長。16時15分までに二人で視聴覚室に行ってくれ」


「はい…」



またとないチャンス に思えた。


どうにか理由をつけて、二人きりで話をしたい。



それに放課後なら教室に残っている人も少ない筈。聞くなら今日しかない。



そう思ったのだが。



HRの直後、背中をつつかれた。振り向くと紅葉が張り付けた笑顔で座っている。


「な…何?」


まさか、あたしの魂胆を見透かしているわけではないだろう。…が。


その目は全く笑っていなかった。



「学級委員も大変だね!

私ね、今日は撮影ないんだー!だから、終わるまで待ってるよ。一緒に帰ろうよ」



ニコニコ にこにこ


笑みの向こうに確実に見える脅し。



『余計な事をしないように見張っててあげる』




あたしにはその笑顔がそう言っているとしか思えなかった。



……仕方ない。残念だが、自分の立場の方が重要だ。



「…うん、終わったら走って来るね」



最近益々磨きがかかった、お得意の作り笑いを浮かべると



紅葉は満足そうに、笑った。