おっとりとしたタジマは、妙なところで気が回る。 それが年齢に見あった経験則というものなのかもしれない。 ササキはタジマの背中を見つめながら、そう思った。 ユリカは仕事上、納得いかないことに関しては持ち前の気の強さでタジマを言い負かすこともあったが、 こういうときはキチンとタジマの言葉を聞く。 「わかりました」 ユリカは、タジマと自分の間に置かれた両替を手にとると、律儀に頷いた。