【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−




海での体験を終えて、近くの店で生まれて初めてのゴーヤチャンプルを食べる。


「……んまい!全然苦くない」


「だろ?本場のはちゃんとあく抜きしてあるから苦くないんだ」


なんでか、今まで食べたことのなかったゴーヤ。別に、食わず嫌いしていたわけじゃない。


イメージよりもずっと優しい味。まるで、見た目こそいかついのに優しいナツみたい。


「夕方は星砂でも拾おうか?」


「うん!」


限定の恋だけど、今だけは、この時間が永遠だなんて錯覚してもいいのかな……?


ね、ナツ、恥ずかしくて聞けないけど、願わずにはいられないんだよ。


幸せなのに、何でか涙が溢れそう。嫌だなぁ。簡単に泣くような女なんて、ウザイと思ってたのにな。