「いいよ。ひと夏限定で、ナツの世話してやっても」


捻くれ者の私は、嬉しいくせに素直に返事が出来なくて、そんな言葉を返すのがやっとだった。


ホントは嬉しくて、今にも口がふにゃりと弧を描きそうなのに。


それまで真剣な顔だったナツが、私の一言でふっと顔を綻ばす。


「そうか。これが今流行りのツンデレか」


「デレなんてないもん。ツンしかないし」


ナツの一言に、私も冗談混じりに返答すると、ナツは再び唇のピアスを瞬かせて笑う。


私もそれにつられて笑っていると、霞んだ世界が今度は橙色に染まり始めた。


さっきの天気が嘘のようだ。


……目まぐるしい。ホントに、この空は女心みたいに気まぐれに変化する。