【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−

その為に、沖縄の高校に赴任することにした。そうする為に、結構頑張ったんだよ?


二十代も後半。もう、あの頃のナツに近い年齢になりつつある。


踏み切るには勇気が要ったけど、だけど、私は私の青春を、自分の力で蘇らせる。


懐かしい、変わらない風景を歩いていると、ふと、懐かしい、涙が出そうなほど優しい音色が聞こえた。


沖縄独特のゆったりとした音が、潮風に乗って、私を優しく包み込む。


その音に誘われるように歩くと、ムカつくくらい真っ白な砂浜に、ムカつくくらい真っ青な海が広がっていて。


その美しい光景の中に、胡弓を持った、あの頃と変わらない、広くて逞しい、健康的に焼けた肌を持つ後ろ姿があった。